ニキビの塗り薬、処方薬と市販薬は症状によって使い分けよう

こんにちは。 「たまご肌ちゃんねる」管理人の中川あんなです。 過去にひどいニキビに悩んだことをきっかけに、スキンケアアドバイザー・カウンセラーの資格を取得しました。 このブログでは、正しいスキンケアの情報をスキンケア初心者の方向けにわかりやすくお届けしています。


昔、ニキビに悩まされていた頃、よくこんなふうに思っていました。

「また病院に行かないとダメかな…。忙しいし、正直めんどうだな」
「市販薬でなんとかならないかな?そもそも処方薬と何が違うんだろう?」
「でも、よくわからないまま使って悪化したら怖いな…」

結局、違いがよくわからないまま市販薬を買っては、あまり効果を感じられず、症状が悪化したタイミングで皮膚科を受診する…ということを繰り返していました。

ニキビができたとき、病院でもらう「処方薬」とドラッグストアなどで買える「市販薬」には、実際どんな違いがあるのでしょうか。

この記事では、

・処方薬と市販薬の違い(塗り薬について)

・それぞれに含まれる有効成分と期待される効果

・症状に合った薬の選び方

についてわかりやすく解説します。

自己判断で薬を選んでしまうと、かえってニキビが悪化したり、治りが遅くなってニキビ跡が残ってしまうこともあります。

正しく理解して、自分の肌に合った対処ができるようになると安心です。

【この記事を読む前に】

  • 本記事は、日本皮膚科学会が公表している『尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン(2023年版)』の内容をもとに、ニキビ治療に用いられる外用薬(塗り薬)について一般的な情報をまとめたものです。
  • 特定の薬の効果や安全性を保証するものではありません。
  • 薬の効果や副作用には個人差があります。症状の程度や肌質によっても異なりますので、自己判断は避け、必ず医師や薬剤師に相談のうえ使用してください。
  • 本記事の情報は、スキンケアやニキビ治療を考える際の参考のひとつとしてお役立てください。
目次

ニキビの塗り薬、処方薬と市販薬の違いは?

ニキビの症状や原因は人によって異なりますが、処方薬と市販薬では有効成分の種類や濃度、作用の強さに大きな違いがあります。 適切な薬を使うことで治療効果を高めたり、再発防止につなげることができます。

1. 入手方法

  • 処方薬:医師の診察・処方が必要。薬局で保険適用で購入。
  • 市販薬:薬局やドラッグストア、通販で購入可能(自己判断で入手)。

2. 成分の種類と濃度

  • 処方薬:有効成分の濃度が高く、作用が強め。医学的根拠に基づいた成分(例:過酸化ベンゾイル・アダパレン・クリンダマイシン)。
  • 市販薬:濃度が低めで穏やかな作用。副作用が起こりにくいように調整(例:グリチルリチン酸ジカリウム・イソプロピルメチルフェノールなど)。

3. 副作用リスクと使用管理

  • 処方薬:副作用が起こる可能性があるため、医師による使用管理が必要。
  • 市販薬:比較的安全だが、まれに副作用あり。自己管理で使用する必要がある。

4. 対象となる症状の重さ

  • 処方薬:中等度~重度のニキビや、繰り返す炎症性ニキビに用いられる。
  • 市販薬:白ニキビ・黒ニキビなど軽度の初期症状向け。

5. 治療の目的と効果

  • 処方薬:再発予防や重症化防止、ニキビ跡のリスク軽減など根本治療が期待できる。
  • 市販薬:炎症を抑えたり、応急処置・スキンケアの補助としての役割が多い。

6. 医薬品の分類

  • 処方薬:医師の管理下で使用される「医療用医薬品」。
  • 市販薬:一般用医薬品(第2類医薬品、第3類医薬品など)に分類される。

【市販薬を使うタイミング】

  • 毛穴の詰まり・白ニキビ・黒ニキビなど、炎症を伴わない初期段階
  • 赤みや膨らみが軽度で、痛みや腫れがほとんどない場合
  • 皮膚科に行く時間が取れないが、症状が軽い場合の応急処置
  • 再発防止・スキンケアの一環として、軽度の症状に対して継続的に使う場合

【処方薬を使うタイミング】

  • 赤ニキビ・黄ニキビなど、炎症を伴う中等症〜重症のニキビ
  • 何度も同じ場所に繰り返すニキビがある場合
  • 痛みや腫れ、膿があるなど、自己判断での対処が難しい場合
  • 市販薬を使用しても悪化してきた場合
  • ニキビ跡や色素沈着を残したくない場合(早期治療でリスク軽減)

ニキビの塗り薬でよく使われる成分

以下処方薬と市販薬の成分の違いをまとめた表です。

◯処方薬

成分名主な作用副作用
アダパレン毛穴詰まりの改善(角化の正常化)赤み、乾燥、皮むけ、軽いかゆみやヒリヒリ感
過酸化ベンゾイル殺菌+角質除去(ピーリング作用)赤み、ヒリヒリ感、皮むけ、乾燥などの刺激症状、
クリンダマイシン抗菌・抗炎症(赤ニキビ)赤み、刺激感、接触皮膚炎(まれ)
※抗菌薬なので、長期単独使用は耐性菌のリスクがある

皮膚科で処方される「過酸化ベンゾイル(ベピオなど)」や「アダパレン(ディフェリンなど)」は、毛穴詰まりの改善やアクネ菌の抑制に効果があるとされています。

◯市販薬(ドラッグストア等で購入できるもの)

成分名主な作用副作用
イソプロピルメチルフェノール殺菌(アクネ菌の抑制)稀に接触皮膚炎(かゆみ・赤み)
グリチルリチン酸ジカリウム抗炎症(赤み・腫れを抑える)稀に塗布部の赤み・かゆみ・発疹など
サリチル酸角質除去(ピーリング作用)低濃度でも発赤・紅斑などの皮膚刺激が起きることがある
アラントイン抗炎症・組織修復の補助非常に少ないが、ごくわずかに赤み・かゆみが出ることがある

市販薬は、軽度の炎症や赤ニキビには有効ですが、根本的な毛穴詰まりの改善には向かない場合もあります。

皮膚科を受診するのが面倒に感じてしまうときもある

「皮膚科に行っても思ったより良くならなかった」

「市販薬でも一時的に落ち着いたことがある」

という経験から、市販薬だけでなんとかしたいと思った経験が何度かあります。

しかし、原因や症状が違えば、同じ薬でも効果が出にくいことがありますし、市販薬の使い方を間違えると逆に悪化することもあります。

処方薬だけでなく、市販薬についても正しい知識があると、自分で判断しやすくなります。

違いをきちんと理解しておけば、

  • 「病院に行くべきタイミング」
  • 「市販薬で対応できる症状」

の見極めができるようになり、無駄に悩まずにすむようになります。

ニキビの症状に応じて推奨されている成分がある

皮膚科で処方される薬と市販薬には、それぞれ使用できる「根拠」が明確に示されています。

日本皮膚科学会が発行している『尋常性ざ瘡治療ガイドライン 2023』では、軽症〜重症のニキビに対して第一選択として推奨されているのが、

  • 「過酸化ベンゾイル」
  • 「アダパレン」
  • 「クリンダマイシン」

などの外用薬です。これらは市販薬では手に入らず、医師の判断のもと処方される薬です


『尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン2023』に記載された内容のうち、急性炎症期の炎症性皮疹(赤く腫れたり、膿をもったニキビ)に対して「推奨度A(強く推奨)」とされている外用薬の有効成分のみを抜粋してご紹介します。

CQ番号治療対象有効成分・治療法推奨度
CQ1炎症性皮疹(中等症〜重症)クリンダマイシン1% / 過酸化ベンゾイル3% 配合ゲルA
CQ2炎症性皮疹(中等症〜重症)アダパレン0.1% / 過酸化ベンゾイル2.5% 配合ゲルA
CQ3炎症性皮疹(軽症〜重症)アダパレン0.1%ゲル + 外用抗菌薬A
CQ4炎症性皮疹(軽症〜中等症)過酸化ベンゾイル2.5%ゲルA
CQ5炎症性皮疹(軽症〜重症)アダパレン0.1%ゲルA
CQ6炎症性皮疹外用抗菌薬(クリンダマイシン、ナジフロキサシン、オゼノキサシン)A
CQ7炎症性皮疹(中等症〜最重症)アダパレン0.1% / 過酸化ベンゾイル2.5%配合ゲル + 内服抗菌薬A
CQ8炎症性皮疹(中等症〜重症)アダパレン0.1%ゲル + 内服抗菌薬A

※出典:日本皮膚科学会『尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン2023

私がよく通っている皮膚科では、「デュアック配合ゲル」という塗り薬が処方されます。

「デュアック配合ゲル」は、過酸化ベンゾイル(3%)とクリンダマイシン(1%)を組み合わせたものです。
日本皮膚科学会の『尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン2023』において、**炎症を起こしたニキビ(赤ニキビなど)に対して強く推奨されている治療薬(CQ1)**にあたります。

私は、白ニキビから赤ニキビにかけてこの薬を使うことが多いのですが、使用後3〜4日ほどで赤みや腫れが落ち着いてくることが多いです。

ただし、赤みが強いニキビや、膿をもった黄ニキビ・紫ニキビのような重症のニキビでは、もう少し時間がかかると感じています。

※もちろん効果には個人差があるため、誰にでも同じスピードで効くとは限りません。

なぜ市販薬では処方薬の成分が入っていないのか?

病院の処方薬は、厚生労働省が発表している「一般用医薬品のリスク区分」のなかで「第一医薬品」に当てはまります。

このリスク区分は、ざっくり簡単に説明すると以下の表のようになります。

色の塗ってある部分が処方薬に該当するものです。

分類ざっくりした説明主な例
第1類医薬品副作用が出やすい。医師や薬剤師の説明が必要病院の薬、強めの薬
第2類医薬品比較的安全だけど、まれに副作用がある市販のニキビ薬、痛み止めなど
第3類医薬品副作用がほとんどなく、安全性が高いビタミン剤、整腸薬など

これらの成分は効果が高い反面、

  • 肌がヒリヒリする
  • 赤くなる
  • 乾燥して皮がむける

という副作用も起きやすいため、患者ごとの肌状態や症状の程度に応じて、使用量・部位・頻度を調整する必要があります。

私がよく処方される「デュアック配合ゲル」も、必ず毎回
「乾燥して皮がむけるかも」
「ヒリヒリすることがある」
「肌がかぶれたら使用を中止してまた再度受診してください」
と説明されます。



市販薬は「ゆるやかな効き目」と「副作用の少なさ」が特徴

処方薬が第1類医薬品であったのに対し、

ドラッグストアで購入できるニキビ用の塗り薬は第2類医薬品に該当します。

こちらもわかりやすく、当てはまる部分に色を塗ってあります。

分類ざっくりした説明主な例
第1類医薬品副作用が出やすい。医師や薬剤師の説明が必要病院の薬、強めの薬
第2類医薬品比較的安全だけど、まれに副作用がある市販のニキビ薬、痛み止めなど
第3類医薬品副作用がほとんどなく、安全性が高いビタミン剤、整腸薬など
  • 副作用のリスクが低く、比較的安全性が高い
  • 自分の判断で購入・使用できる(薬剤師や登録販売者の説明を受ける場合あり)
  • 軽度のニキビ(初期段階)に使われることを想定
  • 症状が軽いときの応急ケアや再発予防に向いている
  • 含まれる成分の濃度が処方薬より低めに設定されている
  • 症状が悪化したり長引く場合は、皮膚科の受診が推奨される

つまり、「処方薬=強くて安心」「市販薬=効かない」ではなく、それぞれ役割と使いどころが違うということです。

正しい知識に基づいて選べば、皮膚科に行くべきか、自宅で市販薬で様子を見るかを自分で判断できるようになります。

④行動

まずは、自分のニキビの状態が「症状が軽いものか」「繰り返すしこりニキビ・赤みや膿をもったニキビか」をチェックしてみましょう。

以下の画像は、市販薬で効果が期待できるニキビに◯もしくは△をつけたものです。参考にしてみて下さい。

毛穴のつまりや、白ニキビ・黒ニキビのような炎症のないニキビであれば、

市販薬でも効果が期待できることがあります。

赤ニキビに関しては、症状が軽ければ市販薬でも対応できる場合がありますが、

見極めが難しいため、皮膚科を受診した方が安心です。

しかし、下記のような症状がある場合や、自分で判断が難しい場合は、皮膚科を受診することをおすすめします。

  • 同じ場所に何度もニキビができる
  • 膿がたまるようなニキビが多い
  • 炎症が強く、痛みを感じる
  • 市販薬を数日使っても改善しないor悪化してしまった

また、薬を使う際は、必ず添付文書を確認し、適量を守って使うことも大切です。

「とりあえず」で使う前に、この記事で紹介する違いを参考に、「今の自分の肌に合った選択」をしてみてください。

私自身、毛穴づまりや白ニキビができたときには、
「これくらいで病院に行ってもいいのかな…」と迷って、受診を見送ってしまうことがよくありました。

でも、その結果ニキビが悪化してしまい、あとから何度も後悔したことがあります。

症状が軽いうちに皮膚科を受診しておくことで、

治りが早くなるだけでなく、悪化してしまったときのストレスも減らせるんじゃないかと、私は感じています。

ニキビがあるだけで人と目を合わせられなくなったり、オシャレを頑張っても自分に自身が持てなくなる⋯という経験を過去に何度もしてきました。

◆ まとめ

  • 市販薬は、白ニキビ・黒ニキビ・毛穴詰まりなどの軽度〜中等度のニキビに向いています。
  • 赤ニキビや膿を伴う黄ニキビなど、炎症が強いタイプは皮膚科での治療が必要です。
  • 正しく対処できれば、悪化やニキビ跡になるリスクを減らすことができます。

ニキビ跡ができてしまうと、それを治すのにも時間がかかりますし、

場合によってはお金もかかってしまうことがあります。

だからこそ、そのときの肌の状態に合った薬を選び、早めに正しくケアすることが大切だと私は思っています。

実は私も、昔ひどく肌荒れしたときの名残が、今も頬に赤く残っていて…

メイクで隠すためにコンシーラーを使ったり、「いつか消したいなぁ」なんて思っています。

自分の肌を守るためにも一人で悩まず、まずは皮膚科で見てもらうのがおすすめです。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次